~親に会えない子供をなくそう~
目指すは南米最南端、パタゴニア1000km徒歩チャレンジ!

HOME > チャレンジの記録 > No.7 国境を越え、再びアルゼンチンへ

2015.12.16

5時半ごろ起床。オートミールと紅茶で朝食を済ませ、ふと表を見ると白い靄が立ち込めている。
外に出て辺りを見回してみたが、ほんの50m先が見えないような状態。濃霧が辺りを包んでいた。

霧もほぼ収まった8時半に出発。今日はペンギンのコロニーを見に行く日。

歩くペースは普通の舗装路なら時速にしておよそ4~4.5kmくらい。
未舗装路の場合も速度はそれほど変わらないが、その代わり使うエネルギー、労力は倍以上になる。それにガタガタと絶え間なく衝撃を受け続けるキャリーのボルト部分が心配。

途中、先日見かけたあの白い池のようなものがまたあったので、直接触って確認してみた。
夏の手前でも寒い日は0度くらいまで下がるこの地域。一瞬雪かと思ったが、舐めてみて確定。これらは全部塩だった。
きっとこれの何万倍もあるやつがボリビアのウユニ塩湖なんだろう。

14時半、R257の135km地点を過ぎたところで十字の分岐、そして小屋に到着。
残念ながらこの数百m手前からまた砂利道になっていたが、ここまで舗装路でこれただけでもありがたい。

ここオナイシンからY85を15kmほど南の方に進むとキングペンギンのコロニーがある。

東へ進んでアルゼンチン入りする本来のルートからは外れたおまけルートなので、距離の合計には入れない代わりにここはヒッチハイクで時間を短縮する。

交通量少ないし苦戦するかなと思ったものの、四駆のレンタカーで旅行中のドイツの人が快く乗せてくれて助かった。

何も知らずに来たけれど、月曜を除く11~18時のみオープンで、しかも入場料が$12000(約2400円!!)と高額だった。
何年も前に行った人のブログなどには営業時間や料金の記述は無いので、ここ5年以内くらいにシステムが出来たようだ。

距離感はこんな感じ。近いと言えば近いけれど「手の届きそうな距離」ってほどでもない。
ペンギンも人間慣れしているせいか、ワクワク感はあまり無かった。

自由に使えるよう設置されている双眼鏡があって、それで見れば結構身近に見える。

こっちは別のポイント。ペンギンが特別好きでなければ料金が結構高い割に微妙なとこかもなんて思っていたが、双眼鏡でじっと見ているとそれぞれの動きも分かってやっぱり可愛い。

帰りも同じ人に乗せてもらい、16時半頃さっきの十字路の小屋まで戻る。
暗くなるのが22時過ぎからというパタゴニアにしたらかなり早めだけれど、今日はこれぐらいにして明日に備えよう。

この小屋は扉もあり、今までで一番立派な小屋。
中から扉をロックすることが出来るんで、荷物の盗難などに気を使う必要もない。
主要道路の交差する場所だしもう一組ぐらい誰か来るかと思ったが、結局誰も泊りに来ないので一人でゆっくり使わせてもらった。

ところで。あまりキレイそうではないがマットレスがあったり、ベッドや調理台として使える長テーブルが2台あったりとかなり設備も整っているこの小屋だけど、1つだけ本当に残念なことが。

それは何故か小屋の隅に置いてあるタイヤの中に、またしても人糞があること。

パタゴニアは風が本当に強いので、外でやると液体なんかは自分に引っかかってくることもあるけれど、だとしてもそれでも中でやるのだけは理解できない。
小屋があるんだからせめて壁の外側。風下なら風の影響も受けないのに。

日が経って乾燥してきているのか、さほど臭わないのだけが救い。

窓から見た22時半のパタゴニアの空。
今日は軽めの23km。

2015.12.17

今日は未舗装路を歩く勝負の日。
4時に起き、まだ薄暗いのでライトを点けながらこの間の町で買った Nissin のインスタントラーメンを作る。
屋根を雨が叩く音がしているが、これも長く降ることはないだろう。

出発したのは6時半。雨はまだ微かに降っているが、これくらいなら程よく土埃を抑えてくれて逆にいい条件かもしれない。

9時頃までに10km程進み、ルート257の145km地点に到着。未舗装ながら思っていたよりも砂利が粗くないので比較的進みやすい。地図ではこの道はY71と記載されていたけれど、なぜか実際の標識にはR257と書かれている。

途中ディクソンのタイヤ部分に泥と小石が詰まって動けなくなるピンチがあったが、拾った細い木の枝でかき出すことに成功。なんとか復活した。

路肩でのメンテナンス中に「大丈夫?」と声をかけてくれたチャリダーの一人、イングランドのアシュレイによると、ここから15km前後先のアルゼンチンとの国境の手前でサンドイッチやコーヒーを出す店が営業しているという。プエルト・ナタレスに着く前日に差し入れでもらって以来、度々あのボリュームあるサンドイッチ(と呼ばれるバーガー)が頭をよぎっていたのでこれは楽しみだ。

昼休憩。チーズの塊を切ったりパンを割ったりと、いろいろ使えるのでナイフが1つあると便利。
パタゴニアではよくお土産として皮のケース付きのナイフ&フォークセットを売っていて、今使っているのはエル・カラファテで買った物。地図は$6000(≒1200円)くらいで買ったけれど、スマホの地図アプリを見る方が楽(風が強い時は紙だと広げられない)なのであまり使わなかった。

沿道のエスタンシアの敷地内にあった池。草原の窪地にただ水が溜まっただけのこういうのは結構よく見かけるが、これは比較的大きい方。池の左の方にはフラミンゴが来ているが、距離的にスマホのカメラだとちょっと厳しい。

砂利道をまた延々と歩いていく。

18時過ぎ、R257の166.6km地点で泊まれそうな小屋を発見。

中はご多分に漏れずゴミなどが散らばっている状態だけど、マットレス付きのベッドが2つ(本当は3つあったんだけど、1つは完全に壊れていた)もあった。正直いうとマットレスは恐ろしいほど埃っぽいのでむしろ無い方がよかったが、上にロールマットとシュラフを敷けばなんとか寝れる。

最後にシャワーを浴びてから15日。砂利道も歩いているので当然のように全身埃まみれ。
明日国境を越えたところにホテルがあるようなので、手軽な値段で泊まれることを切に願う。

今日は32km前進。

2015.12.18

パイネを出発して20日目。朝は自然と6時に目が覚めた。
今日はついにチリを出て、再びアルゼンチンに入国する日。

アルゼンチンに入ってしまえば以降はウシュアイアまですべて舗装路らしいので、今日が最後の頑張りどころ。

2時間ほどで175km地点まで。
写真は伴走するキャンピングカーと一緒に移動し、身軽に自転車でアルゼンチン縦断を目指しているおじさんとそのファミリー。
「車やバイク、自転車なんかで旅してるのはよく見かけるけれど、ウシュアイアまで歩いて行こうなんてのには初めて会ったよ」とかなり珍しがられた。

カメラのレンズが汚れているのか最近どうも写真がぼやけてしまう。

国境の San Sebastian(サン・セバスチャン)まであと1kmというところで、ドリンクなどを売っている目印となるノボリを発見。

覗いてみると、バス内を売店として営業している店だった。店番は若い男性が一人。
ドリンク類と菓子などがあるくらいで品数は少なかったが、サンドイッチはやっているとのことなのでさっそくもらうことにした。

奥に作るスペースでもあるのかと思っていたが、注文を受けた男性はバスを降りて目の前の家に入っていく。
どうやらこの家の家族で経営してるらしい。
バス内に設えられたカウンター席に座って待っていると、親父さんらしき人がバスまで出来上がったものを運んできてくれた。

期待していたサンドイッチ(ハンバーガー)だが、バンズはそれなりに大きいものの、中の肉が大きくない。
いや、大きくないというよりも、今回パタゴニアに来てから初めて見るくらい肉が薄かった。
挽き肉を捏ねて焼いたものではなく、薄くスライスした肉。それ+チーズが挟まっている。

値段が安かったのでまあ仕方無い。
少しでもボリューム感を出すためにケチャップにマスタード、それとマヨネーズを思い切りかけて食べた。

国境のイミグレーション。さほど並ぶこともなく、すぐに出国のスタンプをもらえた。

だけど国境はここからが長い。
1km、2kmと進み、アルゼンチン側の看板を越えても道は一向に舗装路になる気配はなく、未舗装の砂利道が延々と続く。そして入国スタンプをくれるはずのアルゼンチン側イミグレーションはまったく見えてこない。

イミグレはいったいどれぐらい先なのか?もし夜までに着かない場合、この国境地帯で野宿したらマズいんだろうか?
そんなことを考え、とりあえずアルゼンチン側から来る車を停めて聞いてみようとしたものの、こんな時に限って誰一人として停まってくれない。いつもは歩いていると向こうから停まって声をかけてくれる人が何人もいるのに、今日は30台以上に声をかけても停まってくれる気配すら無かった。

おまけに雨まで降りだす有様。

やっとの思いで辿り着いた時には、チリ側のイミグレを出て3時間半が過ぎていた。

正面の建物がアルゼンチン側のイミグレーションオフィス。
ここからやっと舗装路になる。

入国スタンプをもらって隅のベンチで少し休んでいたところ、職員の人から「こっちで休んだら?」と別の一角へ誘導される。
付いて行ってみるとそこは待合室。しかもただの待合室ではなく、ガスも水道も広いベンチもある。聞けばなんと泊りもOK。

そこは掃除などを担当する2人のスタッフの待機室にもなっているようで、彼らもとても親切だった。
荷物を運びいれ靴をサンダルに履き替えて休んでいると、20才ぐらいの若い男性スタッフ、ファナンヘルが無料のホットシャワーもあるよと教えてくれてびっくり。まさかそこまで至れり尽くせりとは。

汗と埃まみれだった身体、それに衣服もついでに洗わせてもらって、生き返ったような心地良さ。

最初泊ろうかと考えていたホテルがすぐ傍にあるので、そこへ行って売店の箱ワインを購入。
参考のために一番安い部屋の料金を聞くと一泊$400(アルゼンチンペソ、闇レートで両替していた場合で日本円にして約3600円程)。バックパッカー向けホステルのドミトリー部屋で2000円前後が相場のパタゴニアにしたら悪くない値段。
レセプションのおばさんの親切でwifiも使わせてもらうことができた。

明日からはいよいよアルゼンチンを歩きます。

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