~親に会えない子供をなくそう~
目指すは南米最南端、パタゴニア1000km徒歩チャレンジ!

HOME > チャレンジの記録 > No.2 パイネ・サーキット(2)

Day 5 - Wの中心部、イタリアーノへ。

朝食を済ませた後、荷物は置いたままキャンプサイトのそばにあるミラドール(展望台)に行ってみた。

このミラドールからは氷河の末端、グレイ湖と接するところが見える。

湖に浮いている氷河のカケラが岸に流れ着いていた。
カップと酒があれば贅沢な氷河のロックが飲めたのに、手ぶらで来てしまったのが残念。

一度キャンプサイトに戻り、荷物を背負って出発したのが10時過ぎ。
その直後、キャンプサイトに隣接する宿泊棟の脇で小さなキツネを発見。サイズは猫くらいだった。

また別のミラドール。ここからもグレイ湖が良く見える。

prickly heath、日本名でシンジュノキ。この植物もパイネにはよく生えていた。

右肩が痛みが出てきて小休憩を多めに取る。この日もかなり歩いた感じで太腿が結構キテる。
気付くと首の後ろがヒリヒリしていた。汗もかくし日焼け止めは何度も塗らないと。

ペオエ湖が見えてきた。
湖畔には大きなホテルのような建物があり、その脇がキャンプサイト Paine Grande(パイネ・グランデ)になっている。

14時頃、ペオエ湖畔の船着き場に到着。Wのルートで回る人は初日に船でここまで来る人も多い。
30分ほど休憩し、クッキーを食べてエネルギー補給。

ペオエ湖はとても青かった。日本ではあまり見ない青だ。
湖を左に回り込むように進んでゆく。

ここからは山に向かって雄大な景色が続く。

不思議な雲。ラピュタに出てくる龍の巣のようだ。

まるで要塞のようにそびえるクエルノス・デル・パイネ。
パイネを代表する山の1つ。日本語に訳すと「パイネの角」。

船着き場から3時間ほど歩き、17時半を回った頃にこの日泊まるキャンプサイト Italiano(イタリアーノ)に到着。ここは無料なのでありがたい。パイネの無料キャンプサイトでは水の出る蛇口は無く、どこでも川から直接水を汲むようになっている。

屋根があるのはキャンプサイトの調理小屋。食べる際は外に出て、ベンチは少ないので石とか木とか適当なところに座る。
狭いので調理が終わったらすぐにスペースを空ける配慮が必要だ。

夜、風が強くなってくると、木々の上をジェット機が通るような音が響いた。音だけのことも多いが、一定の間隔で突風が来てテントがガタガタ揺れる。MSRのテントは居住性が良い代わりに風に強い造りにはなっていない。壊れやしないか心配しながらもいつの間にか眠っていた。

Day 6 - 強風の中、やっとたどり着いたロス・クエルノスでなんと…。

そして朝、何とか飛ばされず無事テントの中で目覚めることが出来た。
正直あんな風に耐えられるとは思っていなかったので、予想以上の耐風力と喜んでいたらポールが気持ち曲がっていた。
やはり限界が近かったらしいが、持ちこたえてくれただけありがたい。

今朝はまずこの上にある Mirador Britanico(ミラドール・ブリタニコ)へ。
8時40分頃出発。荷物は置いたまま身軽になって登ってみた。

登り始めて2時間、Mirador Britanico に到着。案内板に修正の跡が見て取れる。
以前はここがキャンプ地で、さらに1kmほど上がミラドールだったらしいが、現在は立ち入り禁止のテープが張ってあってこれ以上は進めなくなっている。

Mirador Britanico は人が乗れるような大きな岩がゴロゴロとしていて、雰囲気としては屋久島にある白谷雲水峡(苔は無いけれど)の太鼓岩近辺のようだ。

同じルートで周っているうちに顔なじみになったいつものドイツ人トレッカー達と記念撮影。
普通は下りる時の方が早いはずなのに、ここは帰りもキッチリ2時間かかった。

下りはどうしても関節に負担がかかる。段々と右の足首と膝に痛みが出てきたが騙しながらいくしかない。

Italiano に置いてきた荷物を回収して東へ。見えてきた Lago Nordenskjöld もまたミルキーな色をした湖だ。

イタリアーノの管理小屋のボードには日々の風速が書いてあって、それによると昨日は時速69kmで今日は時速70km。これは日本で一般的にいう風速に直すと約20mで「身体を60度に傾けないと立っていられない。子供は飛ばされそうになる。」レベルらしい。
実際風はかなり激しく、強く吹くタイミングでは動きを止めて踏ん張らないと男でも倒されそうになるほど。

上の写真を見ると湖の奥の方が白く霞んでいるのが分かると思うけれど、これは強風で湖面の水が巻きあげられているから。
パイネでは小雨が降ってきたかと思うと、それが巻き上げられた川や湖の水ということがよくあって、水面から数十メートル高い位置まで飛んでくることさえ普通にある。

18時頃この日のキャンプ予定地 Los Cuernos(ロス・クエルノス)に到着した。
ここはレストランまで併設したかなり大きな施設だが、なんと人数が多すぎてキャパシティオーバー。空きのテントサイトが無い状態になり、管理事務所の前には20人以上が詰めかけていた。

幸い仲良くしていたドイツ人カップルが早く着いていたので、彼らの取った場所の脇にテントを張らせてもらうことが出来てラッキーだったが、どこにも場所が無い人たちはキャンプサイトを出てビーチや山の方でテントを張ったらしい。
とにかく人が多く、キッチンも空く気配が一切無いのでこの日は夕食を取らずに就寝。

Day 7 - 山上のキャンプ地、ラス・トーレスへ。

5時半起床。昨夜は結構騒がしい様子だったが、その分みんな朝は遅いらしい。先に荷物をまとめ、6時頃キッチンに行ったら一番乗りだった。
昨夜食べられなかったパスタやマッシュポテトなどを食べ、紅茶まで飲み終わった7時半ごろからやっとキッチンが混みだしてくる。
日焼け止めもしっかり塗って、出発したのは8時20分頃。

左側にそびえる山を観ながら2時間半ほど歩くと分かれ道に出た。
片方はキャンプサイト Chileno(チレーノ)へのショートカット、もう片方は Hotel Las Torres(ホテル・ラス・トレス)へ続く道。名前が紛らわしいけど、今日の目的地であるキャンプサイト Torres(トレス)とは別物。迷わずチレーノの方へ向かう。

途中で見かけた鳥たち。

Hotel Las Torres からのルートと合流するポイントの少し先。この壮大な渓谷の奥にあるのが Chileno(チレーノ)。

13時着。起点からも比較的近いので人が多い。ここで今回のサーキットで初めて日本人と会った。

小一時間休憩してクッキーやプラムを食べてもうひと頑張り。
ここからはひたすら登りになる。

地図では1.5時間の表記だったけれど1時間ちょっとでキャンプサイト Torres に到着。ここも無料だ。
テントを張って休んでいるといつものドイツ人たちに1km上のミラドール行きを誘われたが、このトレッキングのハイライトとなる明日を少しでも左足がマシな状態で迎えたいので遠慮させてもらった。

Day 8 - 紅く染まるパイネ。

午前4時にセットしていたアラームで起床。
周囲の暗闇の中でガサゴソいう物音が聞こえライトの光が見える。どうやらキャンプサイトに泊っていたほぼ全員が日の出を見にいくようだ。
ヘッドランプを点けて登っていくこと約一時間、5時半についにこのパイネサーキットで最大の見どころに到着。途中でたまたま会った、4日目の峠越えの際にカイロをあげたカップルと一緒に見ることになった。

目の前にあるのは氷河が流れ出てできた湖とパイネの象徴ともいえる3つの頂き。
少し雲がかかってはいたが、それらが朝の光に照らされて輝く様子をただじっと見つめる。

カップルが持ってきていたジャック・ダニエルのミニボトルを僕にも回してくれた。
ほんの少しではあるけれど、最高の場所で飲む酒はやはり最高に美味い。

しばらくすると背後から強い光が射してきた。

徐々に帰る人が増えてくる中、僕らは完全に陽が昇り切るまでゆっくりと色合いの変化を堪能していた。

その後キャンプサイト Torres に戻り、荷物をまとめて9時ごろ下山開始。
10時頃には Chileno を通過し、その少し先でドイツ人グループと合流。
右足首の痛みが増していたが、話しながら下りることでだいぶ気が紛れて助かった。

Chileno 付近は起点から近いため、日帰りや1泊だけの人も多い様子。
テント無しで宿泊施設に泊る人も多く、軽装で登ってくる人もよく目にする。

11時過ぎ、通常ならゴールとなる Hotel Las Torres のところまで下りて来たのでしばし休憩。
みんなはここからバスに乗ってパイネの出入口である最初の管理事務所までいくようだけど、歩くためにパタゴニアに来た自分はあと少し頑張る。

写真の奥に見える建物がその管理事務所。
ホテルからここまで最後の約7kmを1.5時間ほどで歩き……ついにパイネサーキットのゴール!!

Paso で泊まらず先に進んだのと Britanico がキャンプサイトではなくなっていたことで予定が2日短くなり7泊8日に。
総距離は約141km。
一度プエルト・ナタレスの町に戻り、宿に預けていた荷物を回収した後、ここパイネから最南端の町ウシュアイアに向かって歩く後半戦に突入します。

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