~親に会えない子供をなくそう~
目指すは南米最南端、パタゴニア1000km徒歩チャレンジ!

HOME > チャレンジの記録 > No.1 パイネ・サーキット(1)

Day 1 - パイネ・サーキット、スタート。

朝の7:30、この町に来た時にも利用した、丘の上にあるバスターミナルに集合。すでにたくさんの人が集まっていてバスは今にも出発するところだ。最初のバスに乗りきれなかった人は7:50頃出発の増発便に乗ることに。以前の情報などを見ると宿まで来てピックアップしてくれるとよく書いてあるが、2015年11月現在ピックアップはしていない様子。バスはどこへも寄らずにまっすぐ町を出て北に向かった。

プエルト・ナタレスの町から往復$15000(チリペソ)のバスに揺られて2時間ほど、午前10時前にパイネ国立公園の出入口となる、アマルガ湖近くの管理事務所 Porteria Laguna Amarga に到着した。ここが今回のチャレンジの出発点でもある。
バスが止まると女性のレンジャーが乗りこんできて、スペイン語と英語でここでの流れを簡単に説明。その後全員バスから降りて並び、建物内でまずは入園料$18000を支払った。続いてレンジャーから国立公園内における注意事項を聞く。地図がもらえると聞いていたが特に何もくれなかった。
言えばもらえたのかもしれないけれど、地図は前日町外れのインフォメーションに行ってもらっておいたので問題なし。
管理事務所を出ると皆思い思いにバラけていく。Wのルートを歩く人は別のバスに乗り換えてさらに奥に行くようだが、サーキットの場合はここからスタート。今回は逆時計回りに歩く。

管理事務所のそばにあるトイレで用を済ませ、進む方向を確認して10:20頃に出発。荷物は推定20kg超。ズッシリと肩に食い込みかなりの重さだが、これに慣れないといけない。

数年前にトレッカーの不注意から火災が起きたらしく、木々が焼けて黒くなっているエリアがあった。
ホーストレッキングのための馬も通るので馬糞もかなり落ちている。

柵が乗り越えられるようになっているが、背中の荷が重いので女性の中には手こずっている人も。

川を越えたりする場合は普通橋がかかっていたり、小さなものだと飛び石があったりするが、この日一回だけそれらが何も無い小川があった。ちょうど向こう岸で靴を履いていた男性に声をかけると、靴を脱いで歩いて渡ったという。他に渡れそうなところも無さげなので同じようにしてみたが、水が痛いほど冷たい。深さは足首が浸かる程度、幅も10m未満なのでまだ良かったが、雨の後など水量が多い時だとより大変だ。

濡れた足をタオルで拭いて、ついでに少し休んでチョコクッキーを食べていると、今度はさっきの男性の彼女が川を渡ってきた。2人にもクッキーを勧めて聞いたところ、彼らはドイツ人らしい。

16時前にキャンプサイト Seron に到着。有料なのは知っていたけどテント泊で$7500(≒1500円くらい)もするのには驚いた。
画像にある緑色のドームは宿泊所。テント無しでもその分の料金を払えばあれに泊ることができるし、別棟で食事も出来る。もちろん予約は必須のはずだけど。
風に煽られテント設営に苦戦していたところ、さっきのドイツ人カップルが手伝ってくれた。自分のテントながらまだ慣れていなかったのでとてもありがたい。
食事もストーブの使い方に慣れておらず、吹きこぼれたりもしたが何とかパスタが完成。スープの素やコンソメを入れる量が少なすぎたので味はとても薄かった。

※写真を撮りながらゆっくり歩くタイプなので、出発から到着までの所要時間はちょっと長めになっています。

Day 2 - 湖畔のキャンプ地ディクソン。

朝、重体なミスに気が付く。カメラ代わりのiPhoneの充電用に大容量バッテリーを3つも持ってきたはいいが、接続するためのコードを忘れてしまった…!
一瞬「終わった…」と思ったが、誰か同じ型のを持っている人がいるかもと朝食の時に聞いてみると、一人で来ていたドイツ人青年のアレックスが快く貸してくれた。

10時過ぎに出発。初めの方で結構大きな登りがあった。普段の自分なら休み休み行くところだが、ここはちょっと頑張ろうと小休止無しで登り切る。昨日はどんよりとした空だったがこの日は晴れ間も見えた。

しばらく大きな川沿いを歩く。

道を横切るミニサイズの滝。水を汲んで持ち運べる容器(ペットボトルでOK)さえあれば、パイネ国立公園内では飲み水に困ることはほとんどない。

ルートには目印があったりして基本的に分かりやすい。

普通はこんな感じで足場が組まれているので、濡れずに渡れるようになっている。

ルートを通してタンポポがとても多かった。

真ん中の山の手前、湖の中に突き出した半島部分にあるのがこの日のキャンプ地 Dickson (ディクソン)。よく見るといくつか屋根があるのが分かる。
景色が素晴らしくてつい30分も眺めてしまった。

17時半に到着。Dickson は$6000と前日の Seron よりも安かった。
奥の小屋は管理棟兼宿泊施設のようだ。着いたらまずここに料金を払いに行く。払うと日付けを書いたステッカーをくれるので、テントに貼っておくと「支払い済み」という目印になる。

夕食は野外にある木のテーブルで。近くにテントを張っていたイングランドの父子と相席させてもらい楽しいひと時。父子二人での初めての旅行だという彼らがちょっとまぶしく見えた。

Day 3 - 林の中のキャンプ地、ロス・ぺロスまで。

天気は快晴、今日は距離的にも比較的楽な日だ。まずはしっかりと腹ごしらえから。
初日から結構陽に当たったんで顔や手が日焼けでヒリヒリする。気温が低いので塗ったり塗らなかったりだったが、しっかり塗った方が良さそうだ。

食事の際、火を使う時は必ずこのテーブルの上で行うのがここのルール。調理用の小屋があり、そこでのみ火の使用がOKというキャンプサイトもある。

出発の際にもう一度ディクソンを振り返って。旗は上がチリの国旗で下がここマガジャネス州の州旗。

起きるのは結構早いのに、荷物のパッキングやテントの収納に意外と時間がかかって出発が遅くなりがち。
この日も出発は10時半だった。

出発してすぐ、遠くに巨大な岩壁が見えた。
ヨセミテのハーフドームもそうだけど、いつかあんな垂直壁を登れるようになってみたい。

川があったので渡る前に水を補給。

パタゴニアの強風にやられたのか、折れている木をちょくちょく目にする。

頭が黄色の杭に標識の付いたこれが一定の距離ごとに設置されており、黒抜き部分にある番号が(逆時計回りの場合は)進むごとに1つずつ増えていく。

しばらく登った後、目の前で氷河が見れるポイントにたどり着いた。
氷河があるくらいだから寒いんだけど、そこにタンクトップ一枚で登ってくる猛者がいたので撮らせてもらった。
彼らはカリフォルニアから来たらしい。

氷河から少し行ったところが本日のキャンプ地 Los Perros (ロス・ぺロス)。到着したのは15時過ぎ。
ここは$4500(≒900円くらい)と安いけど、その分シャワーも温水は無くて冷水のみ。皮膚の分厚い欧米人でも無理な水温のようなのでシャワーは早々に断念した。

この時期のパタゴニアは日が沈むのが21時過ぎ、実際に暗くなるのは22時くらいとかなり日が長い。日記を書いたりして過ごす。
初日にイバラで刺した指が腫れてきた。それほど大したことはないけれど、触ると痛い。

明日はこのパイネ・サーキットで一番ハードだと言われる峠越えの日。6時間はかかるとか。ソロなら8時前には出るよう管理人のダニーに言われる。
夜中、強風がゴウゴウと唸りをあげ木々の枝を揺らしていた。

Day 4 - 峠越え、そしてグレイ氷河。

パイネサーキット最大の難所である峠越えの日ということで、早めに起きて8時前に出発。
11月下旬のこの時期、峠にはまだかなり雪が積もっていたが、踏み跡があるのでそこをトレースして行けば大丈夫らしい。

キャンプ地を出てからすぐに登りが始まる。右下にあるのは現在地や標高、距離を示す案内板。

いきなり雪深くなってくる。
写真前方に見えるのは木の枝。地上よりかなり上の部分なので、数メートルは雪に埋まっているようだ。
踏み跡からズレてしまわないように注意深く歩く。

アイゼンは無くても行けると聞いていたが、見た目は完全に雪山登山。慎重に踏み跡をトレースして行ったのでミドルカットのトレッキングシューズだけで大丈夫だった。踏み跡を外れて雪がまだ柔らかい部分を踏んでしまうと足がメリ込むこともあるので、ストックがとても役に立つ。

赤い目印を頼りに登って行く。

やっと峠。標高約1200mでこのルートの最高地点でもある。
そこには石を積んだ塚があり、棒に巻きつけられた様々な布がタルチョのように強風に舞っていた。

ここで一組のチリ人カップルと遭遇。彼女の方が疲労と寒さで座り込んでいたが、強い風が吹き続けるここにいれば余計に体力を消耗する。
僕はザックの中にカイロがあったことを思い出したのでそれを彼女にあげ、揉んでいれば少しずつあったかくなると教えた。反応から察するにカイロを使ったことがないようだった。

峠を越えると巨大なグレイ氷河を見渡せる絶景が。
右手から左手に少しずつ少しずつ動いていて、その先の湖まで繋がっている。

あとは下るだけと思っていたが、雪が柔らかくベチャベチャになっていたりと非常に滑りやすくなっていてこちらの方が注意が必要。幸いベチャベチャなエリアは短かったんで助かったけど、あれが長かったら厄介だった。
そこを過ぎると雪はなくなり、林の中をひたすら下りてゆく。

14時過ぎ、林の中に突如現れたキャンプサイト Paso(パソ)に到着。
予定ではこの日は無料サイトであるここに泊まるつもりだったが、思いの外早く着いたことと、先にたどり着いた誰ひとりとして泊まらず全員がスルーしていたので、自分も頑張って先を目指すことにした。

Paso を出てすぐのところにこれまた氷河一望の絶景ポイントがある。
もしここにテントを張っても良いのなら予定を一日延ばしても泊まりたいような特等席。
しばらくはずっとミラドール(展望台)が続くような状態で氷河を右手に見ながら下りていった。

高所恐怖症の人なんか大丈夫!?っていうような大きな吊り橋。

Paso から1~2時間で Guardas というキャンプサイトがあるはずだったが、今はもう閉鎖され宿泊禁止になっていた。
転用された看板の木材だけがわずかに名残を留めている。

2つ目の吊り橋も渡って19時頃やっとキャンプ地 Gray(グレイ)に到着。本当に疲れた。
ここからはW(ダブル)のルートに入るので人も多く、キャンプサイトもかなり広い。
施設も立派で売店やレストランまであった。サイトの利用料は$6000でカード払いもOK。

スマホのカメラでは丸く写らなかったが、この日の月はほぼ満月。
行動時間は今回のパイネサーキット最長の11時間だった。

←No.0 パイネ国立公園、トレッキングの持ち物や食料
 No.1 パイネ・サーキット(1)
→No.2 パイネ・サーキット(2)

<一覧に戻る>

↑ PAGE TOP

inserted by FC2 system